「丹波の純系いのしし、美味なり。」
“猪肉は臭い”・・・というイメージ、皆さんが猪に対して抱いている先入観ではないだろうか。 |
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出迎えてくれたのはやまひで猪肉店のご主人、山内さん。車を降りるといきなり吊るされた猪が視界に入ってきた。 |
【山内さん】 |
「猪は“けもの臭い”というイメージがあるんですが・・・」
山内さん 「みんなそういういいます!それは、猪じゃなくてイノブタの臭さやねん。イノブタは臭くて食えたものじゃないね。」
「猪とイノブタの違いってなんですか?」
山内さん 「外見は同じやけど中身が全く違う。イノブタは猪と豚が掛け合わされたもの。猪は豚の血が一切入ってないねん。」
「なるほど。そうですか、では丹波の猪が美味しいといわれる理由はどういうところですか?」
山内さん 「丹波の猪は純系が守られています。丹波の奥深い地形が純系を守っているんやね。 豚の血は一滴も入ってないということ。そして新鮮な猪だけを仕入れる。コレが一番重要。野生の猪でも血抜きがうまく出来てないものとかはあきまへん。血抜きの方法はちゃんとするように指導しています。」
“指導?”
聞くところによると山内さん、元々猟師で猪などを獲るワナの販売を数年前から始めていて、昔はギザギザ状の“ガッシャン”と挟むワナが主流だったが、山内さんが開発したワナというのはワイヤーで捕獲するもので今全国的に使用されているヒット商品なのだ。 |
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【山内さんが開発したワイヤー製のワナ】 |
山内さん 「だからうちは猟師から直接獲れたら連絡があってその中でも質が良いものしか買い取らへんねん。
万一、血抜きが不完全なものやイノブタってわかると絶対買い取らない。逆に持ってきた猪がめちゃくちゃいいものやったら普通の値段より高く買い取ります。」
そうすることによって猟師さんも「ヘタなものは山秀さんのところに持っていけない」と刷り込まれ、「いいのが獲れたら山秀さんのトコに持っていこう」・・・となるわけだ。
「わしは見たら一瞬でわかる。長年の経験やね。」と、胸を張ってはっきり言い張るのは自信の現れであるに違いない。
いろんなサイトで猪肉を売っていますが嘘偽りが多すぎる。
今回丹波を訪れる前に猪の勉強をしていったのだが、あるサイトによると、「丹波の猪は栗や松茸や山の芋などウマイものばかりを食べるから当然ウマイ肉になる」と書いてあった。
山内さんが言うには、「猪は松茸なんか食べへん、松茸食うのは鹿や。」とバッサリ訂正。
餌はどこでも一緒。大事なのは「純系が守られているかどうか。」そして捕獲後「しっかり処理されているかどうか」なのだ。
ある意味排他的な奥深い丹波がいのししで有名なのは上の2つが最大の要因である。
しかも、イノブタを猪だと偽って売っているところもあるらしく、そう言うまがい物を食べると、「もう二度と猪肉を食べたくない」というイメージが根付いてしまうらしい。
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また、ここでは野生の猪のほか、飼育された猪も取り扱っています。 |
【今年獲れたウリ坊を飼育しています】 |
実は山内さんが言うには、飼育された猪のほうが野生の猪よりはるかに味が良いと話してくれた。野生の猪は味にバラツキがあったり、旬を越えると2-3日で味がすぐ落ちたりする。
というのも、秋口にはオスは脂が乗って肉がうまく、メスは子供に乳をやるため痩せていてうまくない。一方、正月を過ぎたらオスは繁殖期になってメスを奪い合って山を駆け巡るので脂肪がなくなり肉もまずくなる。逆にメスは新たに子供を生むために餌を沢山食べるので逆にうまくなるそうでバラツキが出るのは野性の証。
山内さんはそのうまい旬の時期の猪だけを買取り、目利きで仕入れたものだけを出荷する。山内さんの目利きと信用で丹波では知る人ぞ知る猪肉店です。
僕が取材に訪れた日も、京都の超有名料亭から注文が入ったり、デパートから連絡が入ったりととても忙しそうでした。お店には冷凍庫が何台もあるのに注文がひっきりなしに入ってくるので回転がよく、いつも新鮮な猪肉を発送しています。
作業場にお邪魔することに・・・
作業場には猪を吊るすクレーンと皮をはいだり骨を抜いたりするいわゆる7つ道具が置かれており、用途別に使い慣れた包丁が整然と並べられている。 |
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【使い慣れた7つ道具】 |
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【手際よくスライス】 |
【使い込まれたスライサー】 |
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注文が入ると、冷凍庫からブロックを出し、スライサーで一定の厚さに切り分けられ、山内さんご自身が採ってきた竹の皮にくるむ。 |
【採ってきた竹の皮】 |
山内さんの奥さんがお昼ごはんに猪の肉を使った猪丼をご馳走してくれました。牛丼の牛を猪にしたもの。 |
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【初めての猪丼】 |
「こないして食べるのは贅沢な食べ方やで!」と言う。
「猪肉はやっぱりぼたん鍋が一番やね。うちの猪肉は臭くないから山椒はあるけど入れる必要はないで。腹八分目になったら初めて山椒を入れてみて。新たな味で二度美味しいから。それで次の日に残った汁の中にご飯を入れておじやにすると三度美味しい。これがぼたん鍋のうまい食べ方。」と山内さんは話してくれた。
今回、丹波の本物の猪肉を取材することにより、本当に色々な噂や不確かではない情報に振り回されている自分がいました。どういうものでも実際に自分の目や舌で感じとり、判断していかないといけないと戒めました。
魚助さんの鮒寿司しかり、新村さんの甘酒しかり、今度の猪肉も、一流の本物を食べてから判断しないとそういう間違ったイメージが一人歩きすることになると感じました。
今回、本物の猪肉を自分の舌で味わい、実際、猪に精通している方に会って話を聞き、少しでも猪のイメージ回復に役に立てればいいとねがう師走の始まりでした。
雪の中の丹波、行ってよかった。
ごぞんじ。
〜山秀さんのハチミツ〜
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山秀さんのお店では、6年前から春から夏にかけて採った蜂蜜も販売している。 |
【蜜蜂がこの箱に眠っています】 |
食べてみると実際ドロッとしたハチミツですがいやなクセがない。特に桜のハチミツが印象的だった。
桜の時期というのは短く、一般的に蜜蜂が行動する前に咲く花とされており、なかなか市場には出回っていないもの。
桜の花の香りがほんのりと香ってくる上品なハチミツ。一度おためしあれ。
記事:一真 |